UNIC MUSEUM
ホーム > UNIC ミュージアム > UNIC HISTORY > ユニッククレーン開発史(1980年代前半〜2000年)
1980年代に入るとトラック搭載型クレーンも各社開発競争の時代を迎えるようになり、1983年(昭和58年)には、他社に先駆け“操作レバーにアクセル機構を内蔵した”『オート・アクセル』を、翌1984年12月(昭和59年12月)には『全自動5段ブーム』をと、矢継ぎ早に開発が進んでいきました。そして、日本経済がバブル景気を迎えた1980年代後半になると高性能化と省力化が望まれるようになり、1985年(昭和60年)には “遠隔操作ができ1人作業を可能にする” 日本初のワンハンド型ラジコン『RC-30R』を、1987年(昭和62年)には“より高所でより広範囲の作業を可能にする”業界初の『6角形6段ブーム』を誕生させました。その後1990年代に入り多くの分野で“人と機械の調和”がテーマに掲げられるようになると、トラック搭載型クレーンも単なる機能重視の機械から、機能と美しさを兼ね備えたツールヘと姿を変えていったのでした。
●強力タイプクレーンへの転換『UR-30Vシリーズ』
強力タイプ『UR-30Vシリーズ』
1980年(昭和55年)に入ると、他社から中型トラック搭載型クレーンの強力タイプが発売され、それまでの開発コンセプトを積載量重視の軽量タイプに置いていた社内では、次期開発の方向性を軽量タイプにするか強力タイプにするかで、意見が真二つに分かれました。そのような中、強力タイプ登場の背景を調査するうちに、タフな機械を求める土木建築業界に需要があることが分かり、軽量タイプの開発に取り組んでいた技術陣は一気に強力タイプ開発へと方向転換を余儀なくされたのでした。そして、翌年の1981年4月(昭和56年4月)に強力タイプの中型トラック搭載型クレーン『UR-30Vシリーズ』が完成しました。この『UR-30Vシリーズ』の開発では、強力タイプへの移行ということもあり、それまでに行われていたテスト方法を見直してより実践的でより過酷なテスト方法が数多くトライされました。そして、そのテスト方法は現在のテスト基準の基礎にもなるものでした。
●ブームの全自動伸縮化を実現した『UR-30VAシリーズ』
全自動伸縮ブーム搭載『UR-30VAシリーズ』
強力タイプへと進化した『UR-30Vシリーズ』でしたが、市場のニーズはブームの全自動伸縮化・高揚程化という方向へシフトを始めており、他社からの全自動4段ブームの登場も手伝って、それまでの半自動4段ブーム(油圧シリンダ伸縮による2段目・3段目+機械式4段目)の全自動化が決定しました。こうして始まった開発は、ブーム形状を含めて完全なゼロからのスタートとなり、“タケノコシリンダ方式”や“3本抱合せシリンダ方式”など幾つかの伸縮装置の試作が行われ、最終的には“シリンダ2本+ワイヤロープ伸縮方式”という新方式が採用されました。この伸縮方式は装置の軽量化に有効で、この後に控えていた5段ブームの開発で威力を発揮することとなりました。そして1983年8月(昭和58年8月)同時に開発を進めていた新機構の『オート・アクセル』と組み合わせ、全自動伸縮4段ブームの『UR-30VAT』が完成しました。さらに、翌年の1984年12月(昭和59年12月)には、待望の全自動伸縮5段ブームの『UR-30VAV』が誕生しました。
●操作レバーにアクセル機構を内蔵した『オート・アクセル』
『オート・アクセル』の説明
(当時のカタログから)
『オート・アクセル』が開発される以前のトラック搭載型クレーンは、片手でクレーン操作(起伏・伸縮・巻上げ巻下げ・旋回のいずれか1つのレバー操作)をし、もう片手でアクセルレバーを操作してクレーンのスピード調整を行っていました。つまり、クレーンの動きとしては1つの操作しかできなく、両手で連動操作をしようとした場合にはアクセルは吹かしっぱなしになってしまい、非常に不経済でした。『UR-30VAシリーズ』に搭載の『オート・アクセル』はクレーンの操作レバーにアクセル機構を内蔵し、片手でのクレーン操作とスピード調整を可能にした画期的な機構でした。もちろん連動操作時(両手操作)のスピード調整も可能になり、経済性・作業性を大幅に改善する機構として、以後のトラック搭載型クレーンの標準的な機構となりました。
ラジコン
『RC-30R』
●ワンハンド型ラジコン『RC-30R』(無線式遠隔操作装置)の誕生
1985年(昭和60年)、既に広く親しまれていたワンハンド型リモコン装置『RC-30A』(有線式:1979年(昭和54年))に加えて無線式のラジコン装置『RC-30R』が登場しました。時代は日本経済がバブル景気を迎えようとしている頃で人手を必要としている時期、それまでの常識であった2人作業に代わって1人でクレーン操作も玉掛け作業もできる省力機械として、ラジコン装置は瞬く間に脚光を浴びる存在となっていきました。
差し違い式アウトリガ
『UR-35VAシリーズ』
●差し違い式アウトリガを採用した『UR-35VAシリーズ』
技術開発が進み長尺ブーム・高揚程クレーンの時代になると、それに応じた安定性が求められるようになり、今度はその安定性に関係の深いアウトリガ張出し幅の確保が重要なテーマとなってきました。そこで新たに差し違い式という構造が考え出されました。しかし、この新構造を採用した試験では、安定性が向上し転倒が起こり難くなった反面、クレーンの各部に大きな負担が掛かるようになり、それまでとは違う部位の損傷が発生しました。特に実際の作業現湯では安定性が増すことで“限界を超えたギリギリの作業”という構図が十分に予想されました。“安定性は上げたいが強度アップによる重量増加は避けたい…”。1986年(昭和61年)発売の『UR-35VAシリーズ』は、そんな“安定度と強度のバランス”という永遠のテーマに直面したシリーズでした。
6段ブーム『UR-35VA6』
●6角形・6段ブームに挑戦した『UR-35VA6』
全自動5段伸縮ブームが実用化されると今度は全自動6段伸縮ブームの開発に注目が集まっていきました。しかし、それは同時にブームの重量問題への挑戦を意味し、厳しい開発がスタートしたのでした。そんななかで浮上したのが6角形ブーム構想でした。理論上では6角形ブームは同サイズの4角形ブームよりも構造的に強く軽量化が可能。また、その断面形状が内蔵する伸縮装置の収納に効率的で、上下凸形状による自動求心特性によってブームの横ブレが出難くいという特性も併せ持っていました。実際のテストでも6角形ブームの実力は予想をはるかに超えるもので、破壊テストでは設計値以上の強度を示し、また、横ブレ低減効果も絶大でした。このようにブームが頑強&軽量化を果たすと次に問題となるのが伸縮装置の軽量化で、いくつかの案が試され、最終的に“油圧シリンダ3本+ワイヤロープ伸縮方式(5、6段同時伸縮)”が採用されました。そしてついに、まったく新しい構造をもった業界初全自動伸縮6角形・6段ブームクレーン『UR-35VA6』は誕生し、1987年(昭和62年)の展示会で華々しくデビューを飾ったのでした。
●6角形ブームのシリーズ化『UR-360/UR-330シリーズ』
一挙ラインナップを果たした
『UR-360/UR-330シリーズ』
6角形・6段ブームクレーン『UR-35VA6』の発売を受け、次期中型トラック搭載型クレーンのオール6角形ブーム化が決定しました。ブーム段数では、差し違い式アウトリガの『UR-360シリーズ』が2〜6段(5機種)を、突合せ式アウトリガの『UR-330シリーズ』が2〜5段(4機種)を揃える、計9機種一挙ラインナップという壮大な計画でした。ほとんどのブームが新規設計、ベースやコラムポストといった主要部分も含め徹底的な耐久テスト・性能テストが行われ、破壊テストでは定格荷重を超える負荷を難なくクリア。そして、1988年2月(昭和63年2月)、長尺作業用に差し違い式アウトリガ(張出し幅4.0m)の『UR-360シリーズ』が、標準作業用として突合せ式アウトリガ(張出し幅3.4m)の『UR-330シリーズ』が、一斉発売されました。
●工業デザインを取り入れた『R形状クレーン』
人に優しい『R形状クレーン』
1990年代に入ると、各分野で工業デザインが取り入れられるようになり、トラックも美しいフォルムを持った新しいデザインに変わっていきました。そのようななかでクレーンだけが鉄板を張り合わせただけの無骨な形状ではいずれ陳腐化する。社内に漠然とした危機感が広がっていました。それらを払拭すべく業界では初の試みとなる工業デザインを取り入れたクレーンの開発がスタートしました。テーマは、「人に優しいクレーン」。暫くして出来上がったデザインは、クレーン全体に曲線を多用した、今までに見たこともない近未来的なフォルムでした。実際の製作に入ると各部のR形状が姿を現し、平板を組み合わせただけだったブーム後端部などは3次元曲面となり、ブーム先端は丸みを帯びた斬新な形に生まれ変わりました。その他、ウインチ減速機カバーには立体曲面が施され、操作レバーのグリップ部も握り易い形状と滑り難い素材が取り入れられました。このように数多くの工業デザインを採用した新しいクレーンは、1992年1月(平成4年1月)、人に優しい『R形状クレーン』として発表されました。
●フックの格納作業を一新したフック自動格納装置『ユニフック』
フック自動格納装置『ユニフック』
フック格納装置が登場するまでは、トラック搭載型クレーンのフックはトラックの荷台やクレーンのコラムポスト部にワイヤで固定するという方法がとられていました。しかし、このような方法では固定の為に荷台への乗り降りが必要だったり、固定作業そのものが煩わしかったり、時には荷台の荷物が固定の邪魔になったりと決して楽な作業とは言えませんでした。 そこで開発されたのが、フックをレバー1本でブーム先端に簡単に格納することができるフック自動格納装置『ユニフック』(1992年(平成4年))でした。このフック自動格納装置の発売は、フックの格納(固定)作業の煩わしさから解放されただけではなく、ブーム後方格納時は荷物との干渉の心配がなくなったり、ブーム前方格納時は前方視界向上に貢献したりと、多くの恩恵をもたらすものでした。
●集中コントロールパネル搭載『UR-Aシリーズ』
コントロールパネル搭載
『UR-Aシリーズ』
元来、クレーンに対するデザインの重要度は乗用車などと比べて低く、“第一に基本性能の高さ、第二に装備の充実ぶり”が重要な要素であり、デザイン性はその次でした。しかし、先の『R形状クレーン』の発売をきっかけに、トラック搭載型クレーンにも人に優しいデザインが求められるようになり、他社からはクレーンをほぼフルカバーするような機種も発売されるようになりました。社内でも新たなデザイン化の構想が広がり、より人に優しいクレーンを目指して、オペレーターの対話の場所である操作レバー部にパネルを設置することが決まりました。しかし、多くの機器が集中する操作レバー部へのパネル設置はメンテナンス性の低下などを招くため、その形状の決定にはデザイン性だけでなく様々なことが考慮されました。そして1994年(平成6年)、集中コントロールパネル搭載の『UR-Aシリーズ』が完成しました。このクレーンは性能表示ステッカーやスイッチ類をコントロールパネルに集約して“操作性と視認性の向上”を主な開発テーマにした、それまでの開発コンセプトとは一線を画するものでした。
●モジュール化に挑戦した『UR-Vシリーズ』
モジュール設計の『UR-Vシリーズ』
1990年代も後半になると、市場はニーズの多様化と短納期化に向かって進んでいきました。そのために装置や部品の共通化が必須となり、1999年11月(平成11年11月)に部品の共通化をテーマにモジュール化を果たした『UR-Vシリーズ』が開発されました。この『UR-Vシリーズ』には開発期間の短縮という別の課題も与えられ、コンピュータによる最適設計など新たな設計手法を試みたシリーズとなりました。