UNIC MUSEUM
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機械式トラッククレーン『MC-5』
昭和20年代後半、日本の荷役作業が人力から機械化に大きくシフトしていくなか、1954年(昭和29年)に大手運送会社と共同で、国産初の移動式クレーンとなる機械式トラッククレーン『MC-5』を開発しました。このクレーンこそが現在に続くユニッククレーン史の原点であり、3年後の1957年(昭和32年)には油圧式ホイールクレーン『KD-50』を、さらに4年後の1961年(昭和36年)には、日本における積載型クレーンの幕開けとも言えるトラック搭載型クレーン『UNIC100』(1トン吊り)、『UNIC200』(2トン吊り)の開発に成功し、1963年(昭和38年)には、さらに吊り上げ能力をアップした2.9トン吊りの『U-300シリーズ』へと進化を遂げていきました。
●ユニッククレーン『UNIC100』の誕生
トラック搭載型クレーン
『UNIC100』
1959年(昭和34年)、欧州視察に出向いた技術陣は“荷の積み降ろしと運搬”を効率よく行うトラック搭載型クレーンを目の当たりにしてその必要性を痛感し、帰国後すぐに独自開発をスタートさせました。クレーン開発の当初は、教材となる海外製クレーンを分解しては、その構造を調べる日々が続きましたが、もともと、“ないものは自分たちで造る”という研究心旺盛な社風も手伝い、試作の繰り返しと部品の内製化が積極的に進められていきました。なかでも特に力が注がれたのが“スーッと動き出して、静かに止まる”操作性でした。このスムーズな動きを実現するにはコントロールバルブの精度が重要で、いろいろな形状を作ってはテストを重ね、ついには溝(切欠き)付スプールを開発することで問題を解決しました。こうして、誕生したクレーンには広く親しまれるようにと「UNIC(ユニック)」の愛称が冠され、ついに1961年(昭和36年)、最初のユニッククレーン『UNIC100』が産声を上げたのでした。この、「UNIC(ユニック)」という愛称は、世界の全ての人々のクレーン(ユニバーサルクレーン)でありたいという願いと、その形が似ている伝説の一角獣(ユニコーン)の力強いイメージを元に考え出された造語というのは、社内では有名なエピソードとして語り継がれています。
●様々に活躍する『UNIC100』—塵芥収集車—
塵芥収集車に架装された『UNIC100』
『UNIC100』は発売以来その利便性から様々な活躍を見せていました。そんなある日、地元自治体から「ユニッククレーンを、ごみ収集に使用できないか?」との問い合わせがありました。この要望に対して当時としては斬新な“ダストボックス底部を開閉式にして、それをクレーンで吊り上げてゴミだけを荷台へ落とし込む”というアイディアを提案。後にこの底部開閉式ダストボックスは、同自治体との共同申請で特許を取得するまでに至り、さらにこのアイディアは1970年(昭和45年)の大阪万博で大活躍した『U-200R架装・塵芥収集車』にも活かされるのでした。
●様々に活躍する『UNIC100』—構内運搬車—
構内運搬車に架装された『UNIC100』
「市場(いちば)を走る小型の構内運搬車にUNIC 100が付けられないか?」という難しい依頼もありました。超小型の構内運搬車は、トラックとは比べものにならないくらい小さくクレーンの能力が出ないからです。そこで考え出されたのが、“作業時は構内の要所毎に設置したアンカーボルトにクレーンを固定し作業を行う”という斬新なものでした。狭いスペースを有効に活用しようと考え出されたアイディアのひとつが、この小型の構内運搬車架装クレーンを誕生させたのでした。
●試行錯誤の『U-300シリーズ』
側方格納方式『U-300H』
ユニック初の折り曲げ式クレーン
『U-300P』
『U-300シリーズ』は大型トラック用に設計・開発されたクレーンで、様々なアイディアを試したシリーズでした。いうなれば実験室的な側面を持ったクレーンでした。たとえば、油圧シリンダを装着した“ブーム自動伸縮方式”、“独自構造の旋回モーター”、“油圧垂直張り出し式アウトリガ”、“4連コントロールバルブ”、さらに、重心を低くし走行時の安定性を保つように設計された“ブーム・マイナス角格納方式”など数多くの新機構を採用しました。ところが、この“マイナス角格納方式”はコラムポストを車幅中央に配置した『U-300C』には却って具合の悪い存在となり、前方格納では「前方視界の邪魔になるので車検は通さない。」と監督官庁から指導を受け、後方格納では「積荷のジャマになる。」とユーザーの評価も散々なものでした。そこで考え出されたのが、コラムポストを助手席側に偏心させ側方格納方式とした『U-300H』でした。この側方格納方式はユーザーも監督官庁も納得させることのできる構造ではあったのですが、結果的に非対称の構造がトラック全体の重量バランスを崩すことになり、走行安定性に問題を残す結果となってしまいました。このように変貌を遂げた『U-300シリーズ』は、さらに進化し、ユニッククレーンでは初となる折り曲げ式クレーン『U-300P』へと発展していったのでした。
●ペンダント方式を採用した『U-300F』
ペンダント方式起伏シリンダ『U-300F』
多くの意見とアイディアを具現化した『U-300シリーズ』が、次に手掛けたのは“ブーム伸縮の完全自動化と、広い作業半径の確保”という新たな市場ニーズでした。『U-300F』は、そんな市場の要望に応えるべく“最大作業半径5.7m、吊り上げ荷重2.9トン”を誇る“全自動伸縮2段ブーム式クレーン”として誕生しました。このクレーンのいちばんの特徴は“ペンダント方式”と呼ばれるブーム起伏用シリンダの取り付け方法にありました。この取り付け方法は、当時のポンプ圧カが70kg/cm2と低く、それまでと同じ構造では2.9トンに増えた荷重を持ち上げられなかった為に考え出された方式で、ユニッククレーンとしては初めてコラムポストとブーム起伏シリンダを分離した画期的なモデルとなりました。このユニークな方式は、結果的に架装スペースを少なくすることができ、荷台を広くとれるという利点も兼ね備えたものでした。